たのしい教師生活

高校教員7年目、地歴公民科担当。「たのしい」教師生活にするべく日々奮闘中。

ADHDと付き合う・コントロールする

自分はおそらくADHDattention deficit hyperactivity disorder、注意欠陥・多動性障害)だ。気づいたのは5年前。そのとき中心的役割を務めていた大学のサークルに大変な「困ったちゃん」がいて、その子への対処法を学ぼうと思って星野仁彦発達障害に気づかない大人たち』(祥伝社、2010)を読んだのがきっかけだった。

発達障害に気づかない大人たち (祥伝社新書 190)

発達障害に気づかない大人たち (祥伝社新書 190)

 

 というのも、読み進めているうちに「これって自分じゃないか・・・!」という事例ばっかりだったからだ。

不注意で転ぶ。不注意で飲み物をこぼす。アイディアを思いついたら言いたくてうずうずして状況に構わず発言してしまう。興味がないことは一切やらない。整理整頓の仕方がわからない。金銭管理ができない・・・あげていったらキリがない。

「なんでこんなことやっちまうんだろうなぁ…」と途方に暮れていたのは、実は「脳の癖」だったんだ!と思って気持ちが楽になったのを覚えている。

しかし、問題は山積みだ。日常生活に不適合を起こしている部分もあったからだ。それが如実に出たのが(1回目の)大学4年生のとき。研究室に配属されたが、多数の実験のやり方を口頭で説明される。しかし覚えられない。当然失敗する。「なんで何回も失敗するの?わざとやってるんじゃないの?」と叱責される。実験器具を片付けようとしていたら別のタスクを思い出し、そちらをやっていたら実験器具の存在は頭から消え、「なんで器具出しっぱなしなの!」と叱られる。カウンセリングを受けたのは、この生活のなかで心が折れかけたからだ。

しかし、折れなかった。なぜか。ADHDの特性を自覚した上で、その特性が生活に影響を及ぼさないようにしていったからだ。そのための方策を与えてくれたのが、桜井公子『どうして私、片づけられないの?毎日が気持ちいい!「ADHDハッピーマニュアル」』(大和出版, 2004)だ。

どうして私、片づけられないの?―毎日が気持ちいい!「ADHDハッピーマニュアル」

どうして私、片づけられないの?―毎日が気持ちいい!「ADHDハッピーマニュアル」

 

 最近は大人の発達障害というのが注目を集めてきていて、それに関する書籍が出版され始めている。今日買ってきたのは2冊。司馬理英子『あなたのあらゆる「困った! 」がなくなる 「ADHD脳」と上手につき合う本』(大和出版, 2015)と福西勇夫・福西朱美『マンガでわかる大人のADHDコントロールガイド』(法研, 2015)。

あなたのあらゆる「困った! 」がなくなる 「ADHD脳」と上手につき合う本

あなたのあらゆる「困った! 」がなくなる 「ADHD脳」と上手につき合う本

 

 

マンガでわかる大人のADHDコントロールガイド

マンガでわかる大人のADHDコントロールガイド

 

 この3冊から、私が改めて意識しようと思ったことを書いておく。ちなみに、ADHDでなくてもある種の「仕事術」として活用できると思う。

 

仕事や書類でやる気が出ない!

・とにかくまずは手をつける。そこを乗り越えれば案外スムーズにいく。ただし、完璧は目指さない。「完璧にできないからやらない」という言い訳につながる。中途半端な状態で終わってもいいから、とにかくやる。

・自分なりのフォーマットやマニュアルをつくって、心理的負担を減らす*1

 

ものの置き場所、締め切り、戸締りなどなど…とにかく忘れっぽい!

・手帳とペンを常に持ち歩き、言われたらすぐにメモする。忘れてしまっても大丈夫な状態(見返せば思い出せる!)にする。

・"only handle it once"(一度だけ触る) 一度手にしたら、その場で処理。お金の納入、アンケートの記入、出欠表の記入など、その場でできることはその場で処理。後回しにせずすぐにやる。

・物を出したらしまうところまで必ずセットにする。次のことに関心が向いても0.5秒立ち止まって終わらせる。

 

部屋が片付けられない!

・明らかに不要な物を、まず捨てる。

・衝動的に物を買ってしまったりコレクションし始めたりする癖があるので、買い物するときは、買う予定以外の物は1日置いてから必要かどうか考える(買い物のスピードを遅くする)

 

人間関係がうまくいかない、距離感がつかめない

・表現に慎重になるためには「スピードダウン」が不可欠。思いついてから発言する前に5秒待つ。発言前にメモを取り、発言内容を精選する。

 

目の前のことだけに集中してしまう(過集中)

・スケジュールを組むときに休憩や食事の時間もいれる。

・「自分とのアポ」の時間を用意する。急務ではないが、とても重要なこと(資格試験の勉強など)のための時間枠を確保することで、やるべきことにがんじがらめになっている人生から一歩進める。

 

「冬型うつ病*2への対処

・朝は光を浴びる。太陽光が無理ならライトの光でもいいので浴びることで起きやすくなる。

・「食べたい、飲みたい」は脳の欲求なので、自分でコントロールするしかない。「夜8時以降は食べない」など、シンプルな方法でダイエットすることを考える。カロリー計算など複雑なものは、ストレスになるのならやらない方がいい。

 

全般的に…

・体をいたわる。体をやわらかくする。ストレッチをしたり、マッサージを受けたりする。

・失敗はメモしておいて繰り返さないようにする。プラスのできごともしっかり書き留めて、自分に自信を持つ。自分のいいところに目を向ける。

・完全をめざすのはやめて、気軽にできる範囲でやる。

 

 

 

 

*1:研究室配属の時は、「自分だけのPCRマニュアル」をつくっていた。自分が間違ったり失敗しやすいポイントを書いておいたり、液量の計算をすぐできるようにしたもの。

*2:過眠・不眠など睡眠のトラブル、過食などが現れる。ADHDは冬になると特にそういった症状が出やすい。