たのしい教師生活

高校教員7年目、地歴公民科担当。「たのしい」教師生活にするべく日々奮闘中。

授業からの退出

授業動画の再生回数を見ると、まったく見てない、ということはないようだ。むしろ受講人数に比べて再生回数が多い動画がほとんどだ。
きっと、途中で止めて続きを後で見よう、なんてこともやっているのだろう。

しかし、ここにオンデマンド型授業と「生授業」との大きな違いを感じる。

生授業のときに、生徒が「授業を聞くのを一旦やめて…」なんてことはできっこない。教師が授業を進行する以上、生徒はそれに付いていかなければいかない。そういう意味で、授業の場は教師が主導権を握っている。
一方、オンデマンド型授業ではどうか。主導権は受け手、つまり生徒の側にあるのだ。

極端なことを言えば、「これはもう見る価値ないや」と思ったら、その時点で視聴を終えることもできる。
これは、授業という場面において生徒が離脱 exitしやすい*1ということになる。普段の授業では授業アンケートのような発言 voiceするのが関の山だろう。生徒が授業からexitすることは、生徒自身の不利益になる可能性が高い選択肢であるから。果たして、オンデマンド型授業ではいとも簡単にexit可能である。

オンデマンド型授業をやることで、教育という場の権力関係において、教師-生徒の関係性が変容していくかもしれない。「ホメオスタシス」を保ちたい教員は、もしかすると無意識のうちにそれを嗅ぎ取って、オンデマンド型授業をやらない、という人もいるかもしれない…

まぁ、無理にやる必要もないし、いろんなやり方で休校期間の学習を支えられればいい。

*1:以下は、ハーシュマンの『退出・発言・忠誠』からの着想、というか、思いつきである。