【世界史A】第二次世界大戦の勃発
「1938年、ナチス=ドイツはオーストリアを併合。ビスマルクさんの話をしたときのこと、覚えてる?オーストリアはプロイセンに排除される形で独立するけど、ドイツ語を話すし宗教も同じ。つまり、同じ民族といってもいい。そういうわけで併合した。そしてヒトラーは、同じような状況にあるズデーテン地方(チェコスロバキア)をよこせ!と要求。それに対してイギリス・フランスは話し合いをしようということでミュンヘン会談が行われた。」
「さて、みんながイギリス・フランスの政治家なら、ヒトラーになんて言う?選択肢は2つ。『だめだ!他の国に領土を要求するなんてありえない!』『まぁいいよ、ズデーテン地方あげるよ』さぁどっち?」
『ズデーテン地方をあげればヒトラーが満足するなら、穏便に済んでいいと思う』
『もし日本が同じことやられたらありえないと思う。チェコスロバキアの人もそう思うんじゃないか』
「実際はどうしたか。」宥和政策と板書。
「宥和の『宥』、送り仮名をつけて読めるかな?」
『宥(なだ)める』
「なだめるって何をするの?」
『まぁまぁって言ったり…』
「イギリス・フランスはドイツに『まぁまぁ、これで終わりにしなさいよ』と言ったわけだ。」
「みんながイギリス・フランスの国民だったらこの決定を支持する?『よくやった!』『なんてことをしたんだ!』どっちだろうか。」
『他の国の領土を分けるなんて…』『でもヒトラーが満足したら戦争にならないからいいんじゃないか』
「当時の映像で確認しましょう。」
「映像の世紀第4集」から、チェンバレンが飛行場に降り立ったときの映像を見せる。
『(チェンバレンが)喋るたびにめっちゃ盛り上がってる…』
「当時のイギリス国民は、この決定を支持する。平和をもたらしたとして、チェンバレンは英雄扱いされる。」
「では、ヒトラーはこのあとどういう行動にでるだろうか。『もう満足!』となるか、『いいや、まだまだだ!』となるか…」
『約束守らなさそう』『何やっても大丈夫って考えそう』
「それも、当時の映像で確認しよう。」
先ほどの映像の続きを見せる。チェコスロヴァキア併合、ポーランド侵攻の映像が流れる。
「ナレーションでも言っていた通り、ヒトラーは英仏が何も言っていないと踏んで、領土拡大に踏み切った。最後、チェンバレンのラジオ放送が流れたが、ついにイギリスは戦争をすることを決意した。ついに第二次世界大戦が始まった…」
この先は、独ソ不可侵条約の意外性と世界情勢に与えた影響を、風刺画と地図を使いながら確認。
ドイツが圧倒的有利な状況の中、イギリスが持ちこたえたこと、フランスでレジスタンス運動が起こったこと。
独ソ戦が始まり、アメリカが大西洋憲章を発表するという形で戦争に関与しはじめたことを説明。
次回はアジアでの第二次世界大戦について授業すると予告して終了。
今日の授業は生徒が食い入るように聞いていたのが印象的。
当時の人々の立場に立ってもらうことを重視して組み立ててみたが、割と上手く行ったと思う。
「映像の世紀」の効果もあるかもしれない。
なお、この授業の流れは安井俊夫実践を参考にしている。