たのしい教師生活

高校教員7年目、地歴公民科担当。「たのしい」教師生活にするべく日々奮闘中。

「部活中の熱中症」と危機管理

部活で熱中症、脳梗塞も発症しマヒ残る…市に410万円賠償命令 : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞)

部活中に熱中症で障害、東大阪市に賠償命令 大阪地裁:朝日新聞デジタル

 

この裁判の原告である18歳の女性は、中学1年生のときにバドミントン部で活動中に熱中症になり脳梗塞を発症、現在も左手指先が不自由になるという後遺症を負ったとのこと。

 

朝日新聞の記事は熱中症になるまでの流れが時系列で書いてありわかりやすい。午前11時に部活が始まり、「午後1時過ぎ、床に落ちたシャトルを2度拾い損ねるなどの変調を来し、頭痛を訴えて病院に運ばれた」という。

私はバドミントンをやらないので「床に落ちたシャトルを2度拾い損ねる」のがどれだけの「変調」なのかイメージしにくいのだが、普通の動作ができなくなっていたということなのだろう。

 

私は外競技の部活の顧問なので、この裁判の内容はまったく他人事とは思えない。

まだ3年目だが、部活中の熱中症を何度か手当てした(ついこの前の大会でも、試合中に倒れそうになった生徒がいた…気温は25度でも熱中症にはなる!)。救急箱には「ヒヤロン」と「熱さまシート」を常備している。部活以外でも、夏の学校祭、校外での演舞中にクラスの生徒がどんどん体調不良を訴える、ということもあった。

おそらく、学校の教員であれば熱中症と無縁ではいられない。そして、この裁判の事例のように子どもに障害が残ってしまうようなことがあれば、悔やんでも悔やみきれないだろう。

 

さて、判決のなかでは日本体育協会熱中症予防指針について触れられている。読売新聞の記事では、「広く周知されていた」と裁判長が指摘したという。

私自身「机上にあげられていたリーフレットを眺めたことがある…かなぁ」ぐらいのもんだったので、どういう内容か確認してみた。

熱中症予防のための運動指針 - 熱中症を防ごう - 日体協

  • (温度計で)35度以上・・・運動中止
  • 31〜34度・・・激しい運動、持久走は体温が上昇しやすいので避ける
  • 28〜31度・・・激しい運動をする際は30分ごとに休息。

 

今回の事例では、体育館の室温は36度で、この指針によれば「運動は原則禁止」となる。しかし、体育館には温度計がなかったという。

教員は、子どもが学校にいるあいだ、その安全を守らなければいけない。こういったことを知っておかないと、図らずも子どもを危険に追いやってしまうかもしれない。