たのしい教師生活

高校教員7年目、地歴公民科担当。「たのしい」教師生活にするべく日々奮闘中。

『入門 公共政策学』

 

 

「あぁ、自分のための本だ…」という経験は久しぶり。

授業にも修論にも、まさしくこの本がぴったりだったのだ。

教えたいことは教えない

1.今日のNIEの授業。

前半は朝日新聞の「KYサンゴ」。まず記事そのものを読ませ、記事の伝えたいことと読んだ感想を書かせる。そのあと、「お詫び記事」を配布する。「あんなに真剣に読んだのに!」と生徒から笑いが出る。なぜ捏造が発生してしまうのか、その理由を考えてもらう。

・記事にすることがなくて焦ったんだと思う

・最初から結論が決まってたんだと思う

など、いろんな意見が出る。

後半は中日新聞の以下の記事の写真を取り上げ、「写真の情景を文章で説明する」「何を伝えたい写真か」「写真にタイトルをつけよう」の3つの課題を提示。

www.chunichi.co.jp

ある生徒が「沖縄県民の怒り」というタイトルをつけ、「おぉ〜」「うまい!」と周りの生徒が言う。

そこに、「でも、沖縄県民が『全員』『みんな』怒っているんだろうか?」と問いかける。一瞬の静寂。生徒の思考が動いたのを感じる。

常に「本当にそうなんだろうか?」と思うことの大切さを説明。

「教えたいことは教えない」(藤岡信勝)。生徒が自分自身の力で掴み取れるように発問するのが大事なのだ。

 

2.今日の倫理は「最澄空海」。しかし、何を伝えたいかが自分の中で整理されておらず、失敗。

「教師がわかっていないと、生徒が混乱します」と我が師匠が言っていたが、今日もそれを痛感する。

日本思想を生徒に興味・関心がある形で提示できる授業とは。

やっぱり教育内容研究だな。

ついに始まってしまった

1.今日の「現代社会」はパーソナリティの形成。資料集にあった「ユングのタイプ論」の診断テストを実際にやる。その後、クレッチマーとシュプランガーの話を紹介したら、割と盛り上がった。コメントシートには「心理学って面白いですね」「性格がタイプ分けできるとは」「結構あてはまりますね」など…

 

2.今日の「倫理」は聖徳太子の思想。「和の思想」「話し合い」は、凡夫の自覚があるからこそだ、という話をしたら、頷いている生徒多数。昨日の学校祭話し合いが効いてるな…(笑)

 

3.その「学校祭」が曲者だ。これから毎日、泣く生徒が出るのだろう。でも、その葛藤の先に成長がある…はずだ。

心理学の匂い

1.「現代社会」は、フロイト防衛機制やら心の三層構造やら。高校の授業で扱う中でも心理学の匂いがする部分で、「お好きな生徒にはたまらない」感じの授業だったようだ。

 

2.「風の谷のナウシカ」を授業で見せる。「環境問題」の単元の一環。視点を定めるだけで、見方が変わる生徒もいるようだ。

 

3.今週は自習監督等もあり、週21コマ。高校にしては多すぎる。早く明日が終わればいい。そうすれば週末だ。土曜講習があるから日曜日しか休めないが…

コメントシート

1.「現代社会」の生命倫理の授業のコメントシートを見返していたら、「これまでにない社会科の授業で、はじめて社会が楽しいと思えた」というコメントがあった。

この生徒は高3なので、小学3年生からこれまで10年間「社会科」を勉強してきている。「はじめて」楽しいと思えた、という言葉にとてつもない重みを感じる(そのうち高1・高2は自分が教科担任だったから、なおさら…)。

 

2.私の生命倫理の授業はさまざまな事例を紹介した上で、「あなたなら、どうしますか?」というオープン・エンド型。そして、「俺にも答えはわからない。俺も悩んでる」ということも正直に言う。

自分の免許証の裏面を見せる。「臓器移植」の意思表示欄、何も書いていない。私も悩んでいるから。

その上で、新聞記事を使って臓器移植は「本人の意思が不明だが家族が承諾する」ケースが半数以上を占めることを確認する。

「自分の大切な人が脳死になったら…どうする?」

コメントシートには、「本人が承諾していても家族が拒否したらどうなるのですか?」という質問が複数。調べると、その場合は移植は行われない。つまり、もし臓器提供をしたいのならそれを家族に伝えておく必要があるということだ…こういう質問への回答を積み重ねると、生徒はどんどん質問してくる。

 

3.テスト問題作成。今回は5科目。明日の分を今日の夕方作り終える、自転車操業。ミスがなければいいのだが。

崩壊?

1.生徒の荒れに、教員が追いつかない。そして、余裕がなくなる。それを見た生徒たちは、さらに荒れる。悪循環。

 

2.今日の「青年期」の授業は、今までの授業の中で一番うまくいったかもしれない。寝ている生徒がいなかった…(笑)

3年連続で教えている現代社会は、「伝えたい内容」がすでに頭に入っている。きっとそれが良いのだと思う。

 

いきものがかり「YELL」の1番を聞かせる。

・「今日の授業の目標は、この曲の歌詞を理解することです。」と言いながら、「自分は大人?それとも子ども?」という問いに、自分の意見を書かせる。

・ルソー『エミール』の一部を、教科書で確認する。

・青年期は、動物には存在しない時期である(=青年期を理解することは人間を理解するヒントになる)ことを確認する。また、「いろいろできるのにしない」という「不思議な」時期であることを押さえる。

・周りの大人や社会に反発する(第二反抗期*1)ことで、自らの世界観・人生観を形成する契機となることを気付かせる(=あまりにハードな反発はともかく、周囲に疑いの目を持てることは

「発達」している証拠である)。

・ルソー「第二の誕生」、レヴィン「マージナル・マン」といった話から、心理的な不安定さが生じることは至極真っ当であることを伝える。

 

3.辛い時こそ、しかと前を向き続けるしかない。生徒は逃げない。そんなことを、ストロングチューハイを飲みながら思う。まだ火曜日なのに、ひたすら飲んでいる。どうしようもない…(笑)

*1:そもそも、この第二反抗期が存在しない人も多いことに触れる

高体連

昨日今日と、高体連で出張。

「外の空気」を吸うだけで、心が健康になる。

 

試合までの待機時間に、名越康文『どうせ死ぬのになぜ生きるのか』を再読。

慈悲の心を実現するには「戯れる」ことこそが必要、との言葉に、教師として生きる自分へのヒントを感じ取る。

 

授業もまさしく、生徒との「戯れ」でいいのだと最近思う。その中で、彼ら/彼女らはきっと学んでいくのだ。

堀裕嗣は、教師が上機嫌で生徒の前にいることの教育効果は計り知れないという。「戯れる」ためには、こちらの余裕が必要だ。

 

私は、倫理の授業が好きだ。自分への示唆を与えてくれるからだ。

その中でも、キリスト教よりは仏教の方が好きだ。「あなたはこうすべきだ」という指針をより与えてくれるから。

 

教師力ピラミッド 毎日の仕事を劇的に変える40の鉄則

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